市川・真間エリア
市川市万葉植物園・6月
市川市大野町2-1857
万葉集で詠まれた植物を眺めながら散歩を楽しめる癒しスポット
「市川市万葉植物園」は、敷地面積3387㎥の中に、万葉集に詠まれている植物が展示された植物園です。その種類は約380種類(2017年3月末時点)。草本類、淡水性植物類、竹笹類、海藻類、木本類、菌類、曼植物類に及ぶそうです。和風庭園には、池や東屋(あずまや)、藤棚、石灯篭、つくばいなどがあります。
万葉集は、現存する日本で最も古い歌集で、奈良時代の終わり頃にできたと考えられています。全20巻からなり、約4540首の歌が収められています。「市川市万葉植物園」の展示植物の傍らには、植物の名称と万葉集に詠まれている歌、作者が掲示されています。
一例として「くまざさ」の掲示板には、
小竹(ささ)の葉は み山もさやに乱(さや)げども
我れは妹を思ふ 別れ来(き)ぬれば 」
2-133 柿本人麻呂
と書かれてあります。
この歌を直訳すると、“笹の葉は、み山全体にさやさやとそよいでいるけれども、私の耳にはその音も耳に入らない。別れきたばかりの愛しいあの子をただただ想うゆえに”となります。
この歌は、現在の鳥取県西部、当時石見(いはみ)と呼ばれた地に官人として赴任していた作者が、任を終え都に戻る途中詠ったもので、恋の相手は現地妻、依羅娘子(よさみのおとめ)ではないかといわれているそうです。歌の意味や背景を理解しながら植物を愛でると、「市川市万葉植物園」をより楽しめるのではないでしょうか。
取材に訪れた6月中旬は緑がまばゆく、時より吹く風が心地よく感じられました。園内を散策した後、東屋の椅子に座りながらひと息ついていると、鳥のさえずりや、電車が通る音が聞こえ、遠くまで旅に来たような気分になりました。
園内に飲料用の自動販売機はないので、暑い日に訪れる際は飲み物を持参するとよいでしょう。
- 「クマザサ」。
- 「キキョウ」。
- 「アカマツ」。
- 「ベニバナ」。
- 「ジュンサイ」。
- 棘が特徴的な「ジャケツイバラ」。4月下旬頃に花が咲く。
- この季節は庭園の至る所にアジサイが咲いている。一般的な「アジサイ」、「ガクアジサイ」、葉が柏の形に似ている「カシワバアジサイ」。
- ピンクの“猫じゃらし”のような「カライトソウ」。
- チョウチンバナやツリガネソウの別名を持つ「ホタルブクロ」。
- 涼感のあるユリ科の「アガパンサス」。
- 茎をまっすぐに伸ばして、らせん形に花をつけて咲く「ネジバナ」。
- 「テッポウユリ」。
- 「タチアオイ」。
- 「タチツボスミレ」。
- 藤棚の下にはベンチも。
- 和風庭園の中には池があり鯉が泳ぐ姿やトンボ、チョウチョなどの昆虫を眺められる。
- 「ジャケツイバラ」の手前には東屋がある。取材日は6月中旬。東屋に座ると目の前は一面の緑が広がっていた。
- “萬葉植物にみる萬葉びとの暮らし”が記載された掲示板。
「市川市万葉植物園」は、市川大野駅から徒歩約5分。市川大野駅前の信号を渡り、コンビニエンスストアの裏道を進むと、上の方に看板が見えます。その奥にある長い階段を上るとすぐ。駅から近いので散歩がてら万葉集に登場する植物を眺めながら季節の移り変わりを感じてみてはいかがですか。
【DATA】
市川市万葉植物園・6月
- 住所:市川市大野町2-1857
- 電話番号:047-337-9866(園内管理事務所)※園内作業中の場合、電話がすぐにつながらない場合あり
- 時間:4月~10月/9:30~16:30 11月~3月/9:30~16:00
- 駐車場:なし
- 入園料・施設利用料:無料
- 休み:月曜日(月曜が祝日の場合は翌日が休園)、年末年始
- ※休憩室兼展示室、資料室兼図書室は、当面の間利用休止中
- ホームページ:http://www.city.ichikawa.lg.jp/gre04/1511000002.html