大柏川第一調節池緑地・ビジターセンター

貯水機能と水辺の自然を生かした“自然環境創造型の調節池”

市川市北方エリア一帯は、かつて湿地帯で稲作などが行われていたそうです。開発とともに埋め立てが進み現在は住宅などが広がっていますが、洪水被害もありました。そこで、大柏川をはじめとした真間川流域の冠水や浸水の治水対策として開設されたのが「大柏川第一調節池緑地」。2007年(平成19年)6月30日に開設された「調整池」と「緑地」を兼ねる施設で、大小15カ所の池を整備しています。総面積約16ヘクタールと広大で、貯水能力は25万4000トンにもなるそうです。

調節池の堤防からは棚池区域が一望できます。大柏川第一調節池緑地は下記の４つのゾーンに分かれています。１「立入禁止区域」(立ち入りには市または県の許可が必要)。2「自然環境活用ゾーン」立入可(一般利用できる)。3「生息環境整備ゾーン」立入不可(生息環境保護ゾーンに影響を与えないよう、立ち入りを制限している)。4「生息環境保護ゾーン」立入不可(生物の生息・生育のため区域)。立入不可のゾーンは、自然を保護・復元する目的があります。また、湿地で土がぬかるんでいる所もあり危険なので、絶対に立ち入らないようにしましょう。

大柏川第一調節池緑地で見られる鳥類は、コガモ・マガモ・オナガガモ・カルガモ・アオサギ・ダイサギ・タシギ・キジ・カワラヒワなど。また、草木類は

ヨシ・コガマ・ヒメガマ・カヤツリグサ・サンカクイなど。開設から今年で16年が経過し、自然環境の保全・復元に努める取り組みの成果が少しずつ表れていて、飛来する野鳥や動植物の種類も少しずつ増えているようです。

遊歩道や立入可能ゾーンを散策していると、季節や時間帯によりさまざまな動植物を見ることができ、鳥や昆虫の鳴き声に癒されます。散歩やジョギングに訪れる近隣住民の憩いの場所となっています。

水辺の生き物の生態展示や標本などを観測できる“ビジターセンター”

大柏川第一調節池緑地には「大柏川ビジターセンター」があります。ここは、緑地内の環境学習の拠点で、調節池の機能や自然の紹介、体験学習などができます。また、多目的集会室もあります。

大柏川第一調節池緑地を整備した際、掘削工事により露出した自然貝層から、この場所は縄文時代には川が海に注ぐ河口部だったことが判明したそうです。

さらに、土器の一部が発見されたことから、この一帯は漁場だったことも分かったそうです。貝層の中には、とても珍しい種類の貝も含まれていたのだとか。

館内には発掘された貴重な貝なども展示されています。

この緑地に生息する生き物の生態展示や標本、写真がたくさんあり見応え十分。“外来生物”とは何かを知ることもできます。

「ぼっけ生き物倶楽部」・「大柏川第一調節池緑地自然誌研究会」・「緑のみずがき隊」の3団体(2023年10月末時点)による、観察会などのイベントも開催されています(日程や内容については、ビジターセンター内の告知などを参照)。また、館内には図書室があり絵本もたくさん置いてあります。定期的に「おはなし会」もあるので、小さなお子さんも楽しめます。

館内に食堂や売店はありませんが、外に自動販売機が設置されています(エコポイントが貯まるアルミ缶回収機も1台完備)。外にはイスとテーブルもあるので、ここで休むこともできます。トイレはビジターセンター内にありますが、入り口は外にあり、中からの利用はできません。また、障がい者用のトイレも完備されています。

「大柏川第一調節池緑地・ビジターセンター」へのアクセスは、最寄り駅のJR武蔵野線市川大野駅から徒歩約20分。バスを利用する場合は、京成バスの「本八幡駅(市川学園経由)」行きに乗車し「大野中央病院」で下車徒歩約3分。もしくは、JR総武線本八幡駅南口から「医療センター入口(市川営業所)行き」・「市営霊園経由市川営業所行き」・「動植物園行き」のいずれかに乗車し、同じく「大野中央病院」で下車徒歩約3分です。

子どもから大人まで、水辺の自然にふれあうことができる「大柏川第一調節池緑地・ビジターセンター」。一度訪れてみてはいかがでしょう。